「モノノ怪」のっぺらぼう・後編。
「閉ざされていると思えば牢になり、出たくないと思えば城になる」、「面をオモテと思えば容易く顔になる」
等々、前編台詞の真意が後編で明らかにされる…ハズ。
のっぺらぼう・前編レビュー / 鵺・前編レビュー
以下ネタバレ。
母の願いを成就する為、期待に応え体面を保つ為に狐面の男を通して、自らをあの場所に留め続けたお蝶。歪んだ愛故にお蝶の心も歪み、物の怪に化けるきっかけとなった。それが“真”と“理”。
出たくても出られない、それがあの場所を牢と思い込んだ理由に行き着く。
母が絶対に認めなかった己を捨てる過程で、お蝶の満たされぬ愛は自己愛へと転化したのではないか。その自己愛が具現化したのが狐面の男であり、お蝶をずっと見てきた事、嫁にしようとした事に通じるのでは?
のっぺらぼうとはオモテを押し殺し、ぽっかりと穴が開いた人間…その埋め合わせが出来るのはやはり唯一無二の失くした心だと思う。
母の一方的な愛であったが、娘はそれを一身に受け止めて期待に応えようとしていたはず。
心ここにあらず…思い出せなくなるほど、自分が生まれ出る度に殺し続けたお蝶。母の欲望、生き甲斐の為に只の道具になるのは幸せだったのか。物の怪になる事で、オモテの憑拠にもなっていたのかもしれない。
籠の中の鳥、いやこの場合は虫籠の中の蝶…か。そしてその虫籠はずっと開いていた。
一度飛び立った蝶は、二度とあの場所には戻らない。
突き詰めるとどんどん深淵に嵌り込んでいきそうなので、もうこれでお終い。
あ、EDは今エピソードをモチーフにしているのかもしれないな。*1