「モノノ怪」

座敷童子・後編。
前後編という構成上、非常にスマートな作りになった。登場人物が少ないのもこれによるものだろう。


座敷童子・前編レビュー / 海坊主・序の幕レビュー


かつて女郎屋だった老舗宿、身重の女が通されたのは幾度となく女郎の堕胎を行っていた「始末の間」だった。今は壁一面赤子の墓が納められた供養部屋であり、多くの座敷童子が憑いていた。
以下ネタバレ。




妊婦がつける深紅の腹帯=へその緒という表現が見事。自らも堕ろした女将が帯を引っ張る時に、不快なSEと赤ん坊の泣き声で堕胎を描写したのはあまりにも生々しい。
母と子、何人にも邪魔されない関係であり、あの紅い帯が同時に血のつながりを表現していたと思う。だからこそ実子の行く末を知った童子は、受け入れようとした女ではなく、薬売りによる解放を選んだのではないだろうか。
にしても座敷童子はキレイに、そして寂々と祓われたなぁ。退魔の剣の刀身が迫っていた時の童子のあの笑顔…。生を受ける喜びを一番理解していたのはあの子達なのかも。
この世に生まれ出た者の“生きる”故の行為が稚児(ややこ)の“生きたい”という願いを断ってきたという皮肉。前作然り、現代に通じると思っていた怪談は大昔から成長しない人間の心の物語なんだろう。
化猫、座敷童子と観てきて、“理”というのは物の怪にとってもその業から解き放たれた際の“拠り所”を示す役割も果たしているような気がした。


モノノ怪 壱之巻「座敷童子」


さて、来週の「海坊主」がイメージに反して建物が舞台のよう。全エピソード箱庭か?