返却。

幕末・明治という激動の時代を過ごした、生き証人である女性達が語った逸話集。
とある一家が上野戦争から逃げようとしたものの官軍がすでに包囲し、生首をぶら下げてからかう者や目の前で斬り合う者もいるものだから逃げ場を失ってしまい、テンパり過ぎて大砲の響く最中にも関わらず、家の米を炊きおむすびを作りまくって命を助けてもらおうとした、という話が面白かった。まさに兵どもが夢の跡…。
他には維新後、物知らずの武家の落ちぶれていく様を町人達が陰で笑っていた、なんて話は「銭もないのに、威張っていた」など女性の語り口から士族に対する相当の憎たらしさが醸し出されていて小気味良し。


幕末明治 女百話 (上) (岩波文庫)